冷やし中華とか、始められました。 三品目

category: 大流舞亭  

「メダロット、それはテクノロジーが生み出した全く新しいロボットである。ティンペットと 呼ばれる基本フレー

ムに人工知能"メダル"を搭載。 さらに様々なパーツを合体させる事 で、無限の能力を引き出すことが出来

るのだ!」

メダロット新装版が発売決定で歓喜している、こんにちは大流舞亭です。

三品目です。妹が出てきます。変な奴です。

色々と気楽に書いているので楽しい半面、最後に上手く話をまとめられる、着地できるかなあ……と思ってい

ます。





 

タイトル:冷やし中華とか、始められました。 三品目



 いい天気だ。夏だけど、朝も早いとこんなに涼しいんだな。ひんやりした空気が気持ちいい。久しぶりにこん

な早起きしたよ。空もまだ、うっすらと明るい……朝6時、か。昨日寝たのは確か……夜の8時だったかな。妹

に小学生か、って言われたけど、寝過ごすよりは、はるかにマシだ。朝7時に男と2人で出かけるなんて家族

に何事かと思われるからな。早めに準備して、こっそり家を出なければ。

 まあ、とにかく、腹が減った。冷蔵庫に何かあるだろう。みんなを起こさないように、そっと階段を降りよう。

「抜き足さし足忍び足……」

 細心の注意を払わなければいけない。ただでさえ古い家だ。ミシミシ音が鳴る。

「あ、おはよう兄ちゃん」

「……」

 なんてこった。階段降りていきなり妹と遭遇するなんて。人の事言えないが、なんでこいつ、こんな朝早く起

きてるんだよ。

「兄ちゃん、今日どっか行くの? 昨日も早く寝てたよね」

「お前こそ、やけに早く起きてるじゃないか」

「ううん、私は今から寝るの」

「だらけ放題だな」

「アハハ……」

 今に始まったことじゃないが、いいかげんビシッと言わないといけないな。こいつの場合シャレにならん。平

日も夜更かしばかりで、寝不足のまま学校行ってるし。

「おいカオリ。いつまでこのだらけた生活を続ける気だ。このままじゃロクなことないぞ。睡眠不足は百害あっ

て一利なし、って分かるだろ?」

「大丈夫。睡眠はちゃんと摂ってるよ」

「本当か?」

 まったく信用できない。自信満々に親指立ててるけど、逆に怪しい。

「うん。変な時間によく寝てるよ、昼とか」

「授業中は起きとけ! しかもだから夜眠くならないんだよ!」

 思った通りだ。成績は中の下付近らしいが、それでも今の現状を考えれば良いほうなのかもしれない。

「じゃあ今日はこのまま明日まで寝ようかな」

「24時間寝るつもりか。ふやけるぞ」

「冗談だよ。ちゃんとバランスとって、昼寝たら夜起きとくから」

「だから夜に寝ろ!」

「前向きに善処しまーす」

「するつもりないだろ」

 絶対、この後夕方まで寝るに違いない。ちょうど俺が帰ってきたときくらいに、腹を空かせて餌をあさる動物

みたいに、冷蔵庫をゴソゴソと物色している光景が目に浮かぶ。なんだかなあ……なんとか、この妹のだらけ

ぐせを直す方法はないのかなあ……――っと、いかん。あいつのことばかり考えてるわけにもいかない。早く

準備しないと、すぐに7時が来る。ええと、冷蔵庫に何かないかな。うーん……一応材料はあるけど、作るの

は面倒だな。それに作ってる暇もあるかどうか……仕方ない、食パンでも焼こう。

――あれ? やけに袋が軽い……

「……あの昼夜逆転ポニーテール」

許さんっ!

                                    ◆
「こらぁ!!」

「な、何!? 敵襲!?」

「寝ぼけてるんじゃねえ!」

「に、兄ちゃん!? いきなり部屋に入ってこないでよ!」

「うるせえ! これ絶対お前がやっただろ!」

「え、何、食パンの袋? …………ああ」

 こんな食い方するのは家族の中でお前しかいねえよ! もっと言えば町中探してもお前しかいねえよ! 

いつも口酸っぱくして言ってるだろうが!

「パンの耳だけ食べてもとに戻すな!!」

 パンの耳を残すやつならいるよ! たまに見るよ!? でもパンの耳だけ食べて中のフワフワの部分残

すってどういうことだよ!? しかも百歩譲って、ちぎって食べてるならまだいいよ!? でも何でかじってる

んだよ!!

「大丈夫。焼けば問題ない」

「歯型くっきり残ったパンなんて食べづらいわ!」

「女子中学生がかじったパンだよ。売ればきっといい値がつくよ」

「お前がかじったやつなんか売れねえよ!」

「あたし、意外とモテるんだよ? 学校の男子何人かになら売れるよ、絶対」

「まず歯型パンが出来た経緯を聞いてドン引かれるだろうな!」

 そもそも、こいつがモテてるなんて初耳だ。きっと見栄をはってるんだろう。一度も彼氏が出来たとか、デー

トに行ったなんて話聞かないし、まずこいつの趣味についていけるヤツなんてそうそういない。

「せっかくいい夢見てたのに、兄ちゃんの馬鹿」

「どんな夢見てたんだよ」

「殿様が酒池肉林だった」

「……何だそれ」

 世間一般の女子中学生が見る夢ではないと思う。いいや、あってたまるか。でも、こいつ保健体育だけは

成績いいんだよなあ……そう考えると、不思議ではない。不思議ではないが、普通じゃない。

「そんなにカッコいい殿様だったのか」

「ううん。私が殿」

「は?」

「それで周りに可愛い男の子がいっぱいで……ああ、もう少しで手籠にできたのに」

「女の子が手籠とか言うな」

 そうだった、忘れてた。こいつ、可愛い男の子が大好きなんだった。そういえば、俺がアキラが転校してきた

ことを何となく知っていたのは、カオリが興奮気味に騒いでいたのを聞かされたからだった。

「と、いうわけで兄ちゃん。私ハーレムの続き見るんだから出てってよ」

「言われなくても……」

 カオリにはさっさと寝てもらおう。もし、万が一アキラと出会ってみろ。アキラがひどい目にあわされるのは

明らかだぞ。アキラとカオリがクラスメイトってのは心配だが、学校だから多少は自重しているだろう。それが学

校以外で、しかもウチの玄関先で会ってみろ。どんな行動に出るか分からないぞ。もしかしたらいきなり自分

の部屋に拉致するかもしれない。それから……

「早く出て行ってよー」

「あ、ああスマン」

 いかん。つい最悪の事態を考えてしまいそうになった。さっさと準備して家を出て――

――ピンポーン

「あれ、こんな朝早くからお客さん?」

「え」

 ち、ちょっと待て。時間、今の時間は――

「まだ7時なのに」

「7時ぃ!?」

「うん、7時」

「朝の!?」

「……当り前でしょ」

「ああ、いつのまに……!」

 しまった。バカオリの相手してたらいつの間にか時間がきてしまってた! ど、どうしよう。とにかくすぐに準

備を――ああ、その前に外で待っててもらおう。早く玄関に――

「誰ですかー? 今行きまーす」

「行かなくていいよ!」

「なに、そんな大声出して」

「お、俺が出るよ!」

 マズイ! このままじゃアキラと鉢合わせしてしまう! 最悪の事態になりつつあるぞ!

「きっと兄ちゃんに関係ある人なんでしょ? ……デートかなんだか知らないけど、私が出てあげるから、その

間に早く支度しちゃいなよ」

「いや、その」

「……どんな可愛い子か見てやりたいし」

 可愛い子は子でも、男の子なんだよ!

「カオリは見なくてもいい!」

「何それ、どういうこと? ……アッタマきた。こうなったら意地でも見てやる」

「ああっ、待て!」

「うるさい!」

 な、なんだか知らないが怒らせてしまった! このままじゃマズイ――っていうかもう駄目かもしれない! 

カオリの顔がすげえ怖い! さっき止めようとしたら思いっきり手、はじかれた! 

 ピンポーン……ピンポーン……

「まったくもう、うるさいわね!」

 くそ、こうなったら!

「すまん、カオリ!」

「え――きゃあっ!?」

 あ、思ったより軽い。

「お、降ろしてよ!」

「よいしょぉぉぉぉっ!!」

 カオリを持ちあげて、階段を駆け上がる。そして二階の一角にある部屋にカオリを投げ込む。

「ちょっと兄ちゃん!」

「ほんの少し、ほんの少しだけだから!」

 ガチャリ、と外側から鍵をかける。ちなみに内側からは開かない。小さい頃悪さをした時に、親によくカオリ

共々ここに入れられた。通称おしおき部屋。

「こらー! 開けろー!」

 すまん! すぐに出すから我慢してくれ!

 ピンポーン……ピンポ――

「はいはい!」

「――あ、おはようございます」

 麦わら帽子……アキラだ。アキラがもともと小さいから、麦わら帽子が余計に大きく見えるな。

「……やっぱり早かったですか?」

「え? ――あ」

 そういえば俺、まだパジャマだった。うわ、恥ずかしい。こんな格好アキラに見られて――

「――って乙女か!」

「え!?」

「あ、いや何でもない!! す、すぐに準備するから!」

 ちくしょう、どうかしてる! さっさと準備して家を出よう!

……………………
…………
……

「――待たせた!」

「それじゃあ、行きましょうか」

「ああ、行こう」

……………………
…………
……

「兄ちゃーん、まだー? 兄ちゃーん……」



つづく
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2013_06_11

Comments

 

家族に誤解されるとか考えてる時点で、もう君は店長のお仲間ですよ…。

個人的にはゲイ、オカマは女性っぽいイメージがありますね。新宿二丁目といった感じです。
それに対してホモは某青いつなぎのお兄さんのイメージ、つまり男性的な感じがします。
あくまで個人のイメージですけどね。
 URL   2013-06-11 21:13  

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