『6 二年の間に』
 ――――――――……というのが二年前のこと。さらにこの二年間のあいだでさらに変化は起こった。まず、私のこの『デバイス』としての力。これは異なる世界をつなぐ空間能力の一種になるのだが、入り口があれば当然出口もある。私が人間界での門になるなら神獣界の門はどこなのか? 答えはすでにあった。何でも、向こうにバハムートの倉庫? らしきものがあるらしく、そこにつながっているらしい。そしてエネルギーだけでなく物質も転送可能だった。しかしそんな状態ならむやみやたらに色々なものを流出してしまうかもしれない。そのためにも『デバイス』にロック機能がつけられた。ロックを解除するための呪文(キーワード)もバハムートが設定した。それが「デバイス・オン・デバイス」だ。これによって好きなタイミングで転送・射出ができるようになった。さらに頭に響いていたバハムートの声。これも二年の歳月が過ぎた今ではその言葉の意味を理解できるようになったし、テレパシーとして必要なときにだけ使えるレベルまでになった。
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2015_01_23



『5 two years ago ~rebirth~』
 ……声がする。……人間のもので……ない声が……。沈んだ意識の奥底にわずかに聞こえてくる音。いや、聞こえるというより頭に音が直接流れ込んでくる感じ……。
 誰? ……違う。何? 人間じゃない。かといってただの動物でもない。もっと大きな存在。聞いた覚えのある老人のような声。私の一番新しい記憶に刻まれている。怒涛の、娘を探す父親の……叫び。
2015_01_23



『4 two years ago ~change~』
 空を覆う巨大な存在。それを私の隣にいる少女、リヴァイアサンは「父様」と言った。それは可憐な少女から飛び出す言葉としてはいささかおかしいものであった。なにせ今リヴァイアサンが言った相手は空一面に広がる鱗……だろうか。大きすぎてその全貌が確認できない『何か』なのだ。それ以前に少女は見た目は人なのにその発言の先はどう考えても人ではない。
「あんた……一体何者なの?」
 その問いを持ちかけたところで、私は彼女の雰囲気に変化が生じたことを感じとった。人間のものではない、その雰囲気に。
2015_01_23



 『3 two years ago ~encount~』

「またか……」
 私がいるのは暗い路地裏……ではなく、人もそれなりにいる街の商店街の通路だ。だが今、私の周りを取り囲んでいる人間はいかにも……といった雰囲気のガラの悪い男数人、と私。他にも人はいるが皆見て見ぬふりをしている。
「倉崎ィ……。てめぇこの前はよくもやってくれやがったなぁ……」
 今、口を開いたのは私の目の前にいる数人の男達のリーダーと思わしきガタイのいい男だ。好みではないが。
 そして今の状況。周りから見たらどう見てもか弱い女子中学生が数人の男達にからまれている非常にゆゆしき事態であるだろう。

 ゆゆしき事態であるだろう!

2015_01_23


『2 デバイスの少女』


「……device on ……device.」
 そんな特に意味もない言葉を並べながら私は階段を上がる。目的は屋上。生徒は立ち入り禁止となっている、ある意味では秘密に包まれているともいえる場所だ。その扉の前にたどり着き、コンコン、と数回ノックする。
「…………」
 もちろん、返事はない。生徒が立ち入らないように鍵をかけている場所なのだ。開いているわけもないし、その先に誰かがいるというわけもない。これはただ、私が気まぐれでやってみただけのことだ。だが返事がなく、ドアが開かないままではこれからすることへの大きな障害となる。
「仕方ないなぁ……」
ドアから少し後ろに下がる。左腕を後方に動かし、右手を左の手首に添える。そのまま力をこめ、そして―――――――――

2015_01_23


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